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研究実績・成果

プレスリリース 世界最速の原子間力顕微鏡を用いて大腸がん細胞核核膜孔の動きの撮影に世界で初めて成功!

新学術創成研究機構 革新的統合バイオ研究コア セルバイオノミクスユニット および 理工研究域バイオAFM先端研究センター分子・細胞部門 の リチャード・ウォング 教授らの研究グループは,理工研究域 バイオAFM先端研究センターの 安藤敏夫 特任教授らが開発した世界最速の原子間力顕微鏡を用いて,大腸がん細胞の核の表面に存在する核膜孔の可視化,さらに抗がん剤として期待される薬剤による核膜孔の変化を世界で初めてビデオ撮影することに成功しました。

本研究成果は,2017年5月22日にアメリカ化学会誌「ACS Nano」のオンライン版に掲載され,今後発行される同誌冊子体にも掲載される予定です。

本研究により,核膜孔のナノスケールの構造およびダイナミクスの可視化に成功し,核膜孔ゲートの変形と喪失ががん細胞の死に至るコードの一つであることが明らかになりました。これらの知見により,がんに限らず,さまざまな疾患および老化などの生命現象の理解が深まることで,より巨視的な生理現象の異常を原子・分子レベルで制御するナノ治療技術への応用が期待されます。


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図.大腸がん細胞から核膜を生きたまま取り出し,HS-AFMにて観察する

核膜孔をHS-AFM ※1 によって観察することで,糸状になったタンパク質の複合体であるフェニルアラニン‐グリシン‐ヌクレオポリン(FG-Nups,※2)フィラメントの動きを撮影することに成功した。図は,FG-Nupsフィラメントを高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)‐バンドパスフィルター(特定の波長の光だけを効率よく透過するフィルター)を通して見たものとそのまま見たもの(オリジナル)。


※1 HS-AFM(High-speed Atomic Force Microscope):高速原子間力顕微鏡
※2 フェニルアラニン‐グリシン‐ヌクレオポリン
   アミノ酸の一種であるフェニルアラニンとグリシンの繰り返し交配を持つ核膜孔複合構成タンパク質(ヌクレオポリン:Nups)

本研究は,日本学術振興会科学研究費助成事業,
金沢大学新学術創成研究機構ユニット研究推進経費,金沢大学超然プロジェクト,金沢大学がん進展制御研究所共同研究費,
上原記念生命科学財団,鈴木謙三記念医科学応用研究財団,旭硝子財団,興和生命科学振興財団,住友財団,持田記念医学薬学振興財団,金原一郎記念医学医療振興財団,武田科学振興財団の支援を受けて実施されました。


詳しくはこちらのWebサイトをご覧ください。
・金沢大学トップページ > 研究トピック
・アメリカ化学会誌 「ACS Nano」(American Chemical Society)
 Title: High-Speed Atomic Force Microscopy Reveals Loss of Nuclear Pore Resilience as a Dying Code in Colorectal Cancer Cells
 Authors: Mahmoud Shaaban MOHAMED, Akiko KOBAYASHI, Azuma TAOKA, Takahiro WATANABE-NAKAYAMA, Yosuke KIKUCHI, Masaharu HAZAWA, Toshinari MINAMOTO, Yoshihiro FUKUMORI, Noriyuki KODERA, Takayuki UCHIHASHI, Toshio ANDO,  Richard W. WONG
 DOI: 10.1021/acsnano.7b00906
金沢大学 新学術創成研究機構 革新的統合バイオ研究コア セルバイオノミクスユニット
金沢大学 理工研究域 バイオAFM 先端研究センター